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小学校3年生で習う2桁×2桁のかけ算の筆算。
九九はしっかり覚えているし、2桁×1桁はなんとかできるのに、2桁×2桁の計算になると難しく感じるお子さんは多いかもしれません。ただ単に、計算の工程が多いからでしょうか。
どうして難しいのかを身体の使い方や認知面の視点から分析し、アプローチ方法を考えていきたいと思います。
つまずく理由は?
かけ算の筆算を解くためにも、実は身体のいろんな機能を使っています。“頭だけじゃないの?”と思う方も多いかもしれません。認知面を含め、身体の機能を見てあげることで、アプローチの仕方が変わってきます。1:1ではなくても授業中の様子から察することもたくさんできると思うので、一度確認してあげてみてくださいね!
身体の使い方
学習をスムーズに行うためには、自分の身体を思い通りに動かす力が必要になります。手先の器用さと姿勢、目の動き(眼球運動)の視点から確認していきましょう。
手指の器用さ
まず、筆算の計算をするためには、数字を書かなければいけません。筆算を正しく解くためには、鉛筆で数字を筆算の列や行に並べて書く必要があります。斜めになったり、文字のサイズが整わなかったりするとどの数字か分からなくなってしまうため、結果計算ミスに繋がることは想像できますよね。
もう!ちゃんと綺麗に書きなさい!だから計算ミスするんでしょ!
数字を綺麗に書かないと、このやりとりになることは多いと思います。言いたくなりますよね。
実は、この綺麗に書くということが身体の使い方でうまくできない場合があります。
あくまでも一例ですが、下記の様子がないかどうか確認してあげてください。
- 文字を書いているとき、肩に力が入っていないでしょうか。
- 鉛筆は正しく持てているでしょうか。
- ペン先が自分の方に向いていないでしょうか。
- 筆圧は薄すぎたり、濃すぎたりしないでしょうか。
上記の中で当てはまるものがあった場合、身体を滑らかに使うことが難しい可能性があります。わざと汚い字を書いているのではなく、身体の使い方でうまく書けなかったということが考えられます。
姿勢
机に向かってかけ算を頑張って解いているとき、姿勢はどうなっているでしょうか。背筋を伸ばして非利き手でプリントやノートを抑えて、文字を書くということができているでしょうか。
なかには、机にもたれかかるようにして座っていたり、椅子からずれ落ちそうになっていたりと字を書くのが大変な姿勢になっているお子さんも多いと思います。体幹が安定していないと、文字を書くということはとても難しくなってしまいます。
もう!ちゃんと姿勢を正して座りなさい!
ついつい、こんな声かけをしたくなってしまうことってよくあると思います。子どもたちからすると、わざとしている訳ではないことがほとんど。またなかには“ちゃんと”ってどういう姿勢のことをいうんだろう…と疑問に思っている子も多いと思います。
姿勢を正しく保持できない理由として、身体の使い方、筋肉の張り具合(筋緊張)、感覚、集中力などがあります。どうして姿勢を正して座れないのかも、確認してあげることで対策を練ることができます。
目の動き(眼球運動)
眼球運動とは、目の動きのことです。眼球は、6つの筋肉のおかげでいろんな方向を見ることができています。つまり、とても小さい筋肉をバラバラに動かすという複雑な動きの上で成り立っています。
頭を動かさずに、眼球だけを縦・横・斜め・寄り目の動きができるかどうか確認してみてください。
なぜ、そんな目の動きの確認が必要になるでしょうか。
1つずつ確認してみましょう。
まず、“18×5” を計算するときの目の動きを見てみましょう。