0歳児の運動発達ー2ヶ月ごろの赤ちゃんはどんな力が育つの?

基礎

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あっという間の新生児期。
ふにゃふにゃとしていた赤ちゃんは、2ヶ月ごろになると生まれた頃とは顔つきも変わってきますよね。毎日、新しい表情を見せてくれる赤ちゃんを眺めていると一瞬で時間が過ぎてしまいますよね。

2ヶ月ごろの赤ちゃんの育ちについて、今回も可愛い写真に癒されながら学んでいきましょう^^

Aya
Aya

このブログの内容は、
リィーノ発達ゼミのセミナー版の「応用編」でお伝えしているものです。
もっともっと子どもの理解者が増えてほしい!という思いでブログ版もスタートしました。
運動発達を学んで、目の前のお子さんの困りごとを考える材料になれば嬉しいです。


運動発達を学ぶことで、今関わっている子どもたちにどう活かすことができるのかについては、こちらの記事をお読みください。

前回の記事はこちらをお読みください。

「○ヶ月ごろ」という数字は、あくまで目安。
大切なことは、目の前の赤ちゃんやお子さんがどの発達段階にいるかを知ることです。

2ヶ月ごろの赤ちゃんの特徴は?

2ヶ月ごろの赤ちゃんの運動発達のポイント
  • 頭を身体の真ん中に保持できる時間が増える→左右対称的な姿勢が増える
  • 筋力が増え、重力にあらがう運動が見られるようになる

頭を身体の真ん中に保持できる時間が増える

生まれて1ヶ月の新生児期の間は、顔を左右のどちらかに向けている姿勢が多かったですよね。生後2ヶ月の赤ちゃんもまだまだ原始反射に支配されていて、思い通りに顔や身体を動かすことはできないないですが、頭を身体の真ん中(正中線)に保持することが増えてきます。

これは、首周りの筋肉が育ってきた証拠。
つまり、のちのちの首の座りに向けて準備をしているんです。
顔を正面に向けられるようになるということは、見たいものが見れるようになるということ。これからの生活や遊び、学習の土台となる身体づくりは、生まれて間もない頃から始まっているんです。
すごいですよね。

筋力が増える

生後間もない頃に比べると、首の筋肉や身体を伸ばすために必要な筋肉が育ってきています。そのため、うつ伏せでは、少し顔を持ち上げるような動きを見せてくれます。また、あおむけではむにゃむにゃと手足を動かすことが格段に増えてきますよ。詳しくは、次の項目でお伝えします!
赤ちゃんは、日々思った通りに身体を動かす練習に励んでいるんです^^

姿勢・運動の育ちを見ていこう!

それでは、前回と同様にうつ伏せとあおむけの姿勢に分けて、赤ちゃんの運動発達を見ていきましょう。

Aya
Aya

生後1ヶ月の赤ちゃんと比べると、どんな力が付いてきたかを確認してみてね!

・首の動きはどうだろう?
・うつ伏せのときの手を付く位置はどうだろう? などなど

発達の流れを見ていくことで、理解が深まります。
私は、繰り返しイラストや動画を見ながら動きを確認していきました!

1ヶ月の赤ちゃんの発達については、前回の記事(1ヶ月の赤ちゃんはどんな力が育つの?)を参照してみてね!

うつ伏せ(腹臥位)の育ち

2ヶ月ごろの赤ちゃんにとっては、うつ伏せはまだまだしんどい姿勢です。筋力が付いてきたとはいえ、重力にすぐに負けてしまいます。

1ヶ月ごろに比べると、首周りの筋肉が付いてきて頭を少し挙げられるようになります。しかし、首の後ろ側の筋肉(首を伸ばすために必要な筋肉)の発達はこれからであるため、頭を挙げ続けることは難しく、断続的な動きになります。
また、手を付く位置が肩よりも後ろにあるため、十分に踏ん張ることができません。この姿勢を真似してみると分かりますが、胸の上の辺りに身体の重心がくるためしっかりと頭を挙げることはできないんです。

生まれたばかりの赤ちゃんは、ずっとママのお腹の中で丸まっていたため、全身を丸めた姿勢になるんでしたよね(生理的屈曲といいます)。むにゃむにゃと日々動かす中で、少しずつ股関節周りの筋肉が育ち、足を伸ばすために必要な筋肉が使われていきます。すると、丸まった姿勢から少しずつ手足を伸ばした姿勢を取れるようになってきています。

このように、手足を曲げる筋肉だけではなく伸ばす筋肉も使われていくことで、のちに体幹を安定させて、重力にあらがってさまざまな姿勢や運動をとれる身体へと繋がっていくんですよ^^

あおむけ(仰臥位)の育ち

お顔を正面に向けられるようになってきます*

2ヶ月ごろの赤ちゃんは、新生児期に引き続き、あおむけで過ごす時間がほとんどです。体幹をベッドに預けられることで姿勢が安定しやすく、呼吸もしやすいからですね。姿勢が安定しやすいため、いろんなものを見たり聞いたりなどの力もどんどん育っていくんですよ^^

“ママの声かな?”“パパが来てくれたのかな?”と、いろんなものに興味を示すようになってきた赤ちゃん。周りの様子を見たり聞いたりしたい気持ちが、首を動かすことに繋がっていきます。すると、首周りの筋肉が育ち始め、頭を身体の真ん中(正中位)で保つことができるようになってきます。こうやって自然と首の座りの準備をしているんですね。

また、新生児期に比べると、手足をむにゃむにゃと動かすことが増えてきます。このむにゃむにゃと手足を動かすことを「ジェネラルムーブメント(GM)」と言います。ジェネラルムーブメントと調べると、Youtubeなどですぐに動画が見つかると思います。

自発的に手足をむにゃむにゃと動かして、いろんな姿勢や運動ができるようになるための準備体操をしているんです。

生まれて間もない新生児は無秩序な上下肢運動を頻繁に行います。この動きを「ジェネラルムーブメント」と呼びます。おおよそ3ヶ月頃まで頻繁にみられる動きであり、運動制御の発達プロセスにとって重要な要素として考えられています。
こうした運動の質的変化にはシナプスの過剰形成から刈り込みへと発達する神経系の要因が大きく関わっていると考えられています。すなわち、適切な運動抑制のための適切なシナプスが長期的に残される神経システムです。

「発達を学ぶ 人間発達学レクチャー」森岡 周 著より

まとめ

いかがだったでしょうか。
生まれてたった2ヶ月で重力に順応して、手足を動かすことが増えてくるって凄いですよね。日々、重力と戦いながら成長しているんですよ^^

また、2ヶ月ごろになると運動発達だけでなく感覚や見る力、コミュニケーションの基礎などさまざまな力が育まれていきます。それらの発達も絡めて見ていくことで、多角的に子どもたちを見ていくことができますよ。

では、今回のおさらいをしてみましょう!

まとめ
  • うつ伏せでは、少しだけ頭を挙げることができるようになってくる。
  • 2ヶ月ごろの赤ちゃんは、1ヶ月ごろに比べると首周りの筋肉が育ち、頭を身体の正面に保持できる時間が増えてくる。
  • 伸ばすために必要な筋肉が使われ始め、丸まった姿勢(生理的屈曲)が和らいでくる。
  • 自発的に手足をむにゃむにゃと動かすこと(ジェネラルムーブメント)が増えてくる。
  • 全身の筋力が増え、重力にあらがう運動が見られるようになる。


今関わられているお子さんの中には、身体の使い方にぎこちなさがある子がいるかもしれません。
リィーノのセラピーでは、そのようなお子さんに対して、あおむけの姿勢で手足を動かす運動をよく行います。今回お伝えした2ヶ月の赤ちゃんと同様に、体幹が安定するため正しく手足を動かす力を育めるんです。

Aya
Aya

運動発達を学ぶと、
こんなふうに子どもたちに適した活動を提供することができるようになりますよ♪

オススメ本

運動発達を勉強する上でとても役に立つ本をご紹介します。
どれも何度も読んでいる愛読書たちです。参考になれば嬉しいです^^

赤ちゃん はてな 赤ちゃんがわかる育ちのガイドブック:榊原 洋一 監修

保育士・教師の方など初めて運動発達を学ぶ方にはこの本がオススメ。
可愛いイラストと大まかな赤ちゃんの発達が学べます。
おおまかな発達の流れを学ぶにはオススメの一冊です。

発達を学ぶー人間発達学レクチャー:森岡 周 著

OTの学生や発達分野で働く専門職の方は、これがオススメ。
断言します!リハビリ職の方は絶対持ってる方がいい!
今回でてきた「ジェネラルムーブメント」についても詳しく書かれていますよ^^
発達の流れがイラストと共に細かく書かれていてイメージしやすいと思います。
神経系の発達、脳の発達などより詳しく学びたい方にはオススメの一冊です。