触覚情報はどのように脳に伝えられているのかー触ったものが何か分かる理由

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感覚

子どもたちと関わっていると、触覚過敏、手先が不器用、気持ちのコントロールが苦手といったちょっと気になるお子さんに出会うことがよくありますよね。

この子たちがなぜそのような行動をするのかを考えていくためには、触覚がどう身体の中で働いているのかを知ることがとても大切です。

今回は、触ったものがどのようにして分かっているのかという私たちの身体の仕組みを見ていこうと思います。

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触ったものが分かるとは?

今このブログをスマホまたはパソコンで読んでくださっていると思います。
スマホ・パソコンを触っている!と感じているのはどうしてなんでしょうか?
この文章を読んで、スマホの重みや角ばった感触、パソコンのキーボードの感触などを改めて感じている方もいるかもしれません。

私たちは普段何気なくいろんな物を触って、何も考えずに触ったものの素材や質感、形、温度などを感じ取ることができます。
ものを触ってからそれが何か分かる、これは触覚が脳に情報をきちんと伝えてくれるからできることなのです。

その一連の流れを見ていきましょう!

触覚の情報を脳まで伝える

触覚の情報を脳まで伝えるおおまかな流れ

たとえば、ぬいぐるみを手で触ったとしましょう。

ふわふわしてるー!
足の裏のところは、しっとりとしてるなあ。
丸い形しているなあ。

と感じる方が多いのではないでしょうか。
このとき、身体の中ではどんなことが起きているのでしょうか?

今ぬいぐるみに触れているよ!と手のひらや指の皮膚の中にある触覚を感じるセンサーが感じます。そして、その情報をこれ何かなあ〜と考えながら、脳まで伝えていってくれます。

<触覚情報が脳に届くまで>
  • 今、ぬいぐるみに触れてるよ!

    手のひらや指の皮膚の中にある触覚を感じるセンサーが情報をキャッチ

  • これは・・ぬいぐるみ!

    ぬいぐるみの感触を過去の記憶や、触覚以外の感覚からの情報と照らし合わせて、触っているモノが何かを探索

これがざっくりとした流れです。
身体に触れたもの情報を、皮膚の中にある触覚を感じるセンサーが受け取って脳まで運ぶ。
これを私たちが気づかないくらいのスピードで、身体の中で処理してくれているのです^^

では、段階に分けて詳しく見ていきましょう!

作業療法士は、触覚過敏や鈍麻、手先の不器用さなどさまざまな気になる子どもたちの様子や言動に対して、この流れのどこで難しさがあるのかを遊びや生活の様子から探っていきます。

触覚を感じるセンサー

触覚を感じるためのセンサーが皮膚の中に、無数に存在しています。
そのセンサーのことを触覚受容器といい、触覚の種類(軽く触った / 圧をかけて触ったなど)によって働くセンサーが異なり、全部で6つあります。

触覚のセンサーが、特に多いのは口の中と手。
口に多いのは、食べ物を食べるからです。食べられるものなかのかどうか判断できないと生死に関わります。また、赤ちゃんは、なんでも口に持って行ったり、あちこち齧ったりしていますよね。これは、口の中にたくさんセンサーがあるので、これがどんなモノなのかを手で確認するよりも口に入れた方が分かりやすいからなんです。
手に多いのは、想像付きますよね^^
いろんなものを手で触るからですね。特に親指にセンサーが多いんですよ^^
スマホを操作することイメージすれば、理由がすぐに分かるはずです。

受容器とは、刺激を受入れて最初に応答する細胞あるいは細胞の特定部位のこと。

触覚の情報を脳に伝える2つの道

触覚の情報には、自分の身を守るための情報である原始系触覚と、今触っているモノがどんなものなのかを教えてくれる識別系触覚の2つがあります。これらの触覚情報は、神経という道を通って脳に伝えられますが、それぞれ異なる道を通って脳まで伝えられます。神経は1本でできているのではなく、何度か乗り換えながら脳まで伝えられていきます。この脳に伝えるまでの道(神経)の全体のことを伝道路といいます。

自分の身を守る原始系触覚

温度や痛み、一部の触覚といった自分の身を守るための情報を脳に伝える道。
これは、自分の身を守るための情報なので、速く脳に届けなければいけません。

たとえば、やかんを触って火傷したところをイメージしてみてください。

1秒でも速く、やかんから手を離さないといけないですよね。
そんなときに、「この触った感覚はなんやろなあ〜」と呑気に考えながら脳まで情報を伝えられてたら火傷がひどくなってしまいます。
なので、原始系触覚の情報は触覚のセンサーで感じ取ってから脳まで、情報が速く届けられるようになっています。

触ったモノが何であるか教えてくれる識別系触覚

繊細な触覚や圧覚、固有受容覚の情報を伝える道。
これは、触ったことがあるかな?と今までの記憶と照らし合わせたり、この形は丸いなあと触覚以外の感覚(視覚や聴覚など)との情報と混ぜ合わせたりしながら、触っているものの情報を細かく捉えていきます。
そのため、先ほどの原始系触覚に比べると、識別系触覚は触覚のセンサーから脳に伝わるまでに時間がかかります。

触覚過敏へアプローチするときは、原始系触覚と識別系触覚のどちらの触覚が苦手なのかを評価することが大切です。

触覚のはたらきについては、こちらの記事をご覧ください。

いろんな子どもたちの言動を感覚の視点で分かりやすく解説されています。
保護者や保育士・教師向けに書かれた本で、専門用語が一切なく、とても読みやすいですよ^^

触覚の発達

私たちは、いつから触ったモノが何かを分かるようになるのでしょうか?
分かるようになったことを覚えている方は、きっと少ないはず(まだ出会ったことないです。笑)不思議ですよねぇ。

触覚は、いつから育ち始めるのでしょうか。
実は、お母さんのお腹の中にいる頃から、触覚は育ち始めていると言われています。
たった妊娠して3ヶ月頃から育ち始めています。凄いですよね。
つまり、ママが妊娠に気づいた頃には、触覚は育ち始めているのです。

お腹の中で過ごしている間は、丸まった姿勢で過ごしていますよね。つまり、常に自分の身体で自分の身体に触っています。これは生まれてからも、手で足を持って遊んだり、口に手を入れて遊んだりと頻繁に繰り返されます。このように、自分で自分の身体を触る経験(これを、ダブルタッチといいます)を通して、自分の身体を知っていきます。

生まれてからも、おっぱいを飲んだり、ママに抱っこされたり、いろんなおもちゃを触ったり、自分の身体に触れたり。
生活や遊びの中で、「触る」という活動を通して、知らない間に触ったモノが何かが分かるようになってきます。そして、身体各部や自分の身体を滑らかに動かす力を身に付けたり、モノの形や名前といった学習、ことば、気持ちのコントロール、社会性の育ちへと繋がっていきます。

まとめ

  • 触ったモノの情報は、皮膚の中にある触覚を感じるセンサー(受容器)によって、脳まで伝えられる。
  • 触覚の情報を伝えるには、自分の身を守るための原始系触覚と触ったモノが何であるかを教えてくれる識別系触覚の2つの道がある。
  • 触覚は胎児の頃から育ち始め、生まれてから様々な触る活動によって、触ったモノが何か分かるようになる。
  • 触覚は、生きていくために必要なさまざまな力と繋がっている。

触覚は、他の感覚の中でも1番早く育ち始め、私たちがスムーズな生活を送るための基礎となる感覚です。子どもの気になる様子や学習のつまずきの原因には、触覚が影響していることが非常に多いです。触覚のシステムを知ることで、子どもたちへのアプローチが広がりますよ♪