自分の身体を知るための感覚。「触覚」ってなあに?

服が少し汚れただけで、すぐに脱ぎたがります。
どうしてですか。

見ただけで形を捉えることが難しく、算数の図形の問題に苦戦しています。
どうやって教えたらいいですか。

保護者や巡回相談先の保育士さんや学校の先生からお受けする上記のようなご質問。
これらのつまずきの背景には、触覚の感じ方が関わっていることがあります。
今回は、7つの感覚の1つである「触覚」について、お話したいと思います。

7つの感覚については、「感覚」ってなあに?運動・学習・社会性の基盤となる7つの感覚の記事で解説していますので、ご覧ください!

触覚がうまく働かないとどうなるかについては、「触覚」がうまく働かないとどうなるの?の記事をお読みください。

この記事を書いた人
Aya

プロフィール

  • こども専門の作業療法士
  • リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
    (発達が気になる、学習につまずきのある子の教室)
  • リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
    (子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ)
  • 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
  • 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
目次

触覚のはたらき

触覚は感覚の中で唯一、自分の身体を知るための情報と周りのことを知るための情報(五感の1つ)の2つを教えてくれる感覚です。
自分の身体の内側の情報も、外側からの情報も、両方ともキャッチしてくれる働きものです。
今回は4つのはたらきについて紹介します。

  1. 自分の身を危険から守る
  2. 思い通りに手足や身体を動かす力の土台となる
  3. 学習の基盤となる
  4. 気持ちのコントロールの土台となる

それでは、1つずつ見ていきましょう!

Aya

触覚覚は、単独で働くわけではありません。
他の6つの感覚との合わせ技で、上記の7つのお仕事を常にしてくれています。

❶ 危険から身を守る

たとえば、こけてケガをしたり、熱いものを触ってやけどをしてしまったり。
痛い、熱い、冷たいといった自分の身に危険を感じることができるのは、触覚がしっかりと働いてくれているからなんです。

❷ 思い通りに手足や身体を動かす力の土台となる

下の写真の赤ちゃんのように、トンネルくぐりの遊びをしたとしましょう。
最初はトンネルの高さや幅が掴めず、おでこや身体をぶつけてしまう子がとても多いです(それがまた可愛いですが❤︎)。

さっきおでこをぶつけたなあ。
今度はもう少し頭をかがめてみよう!

こんなふうに、遊びの中で自然と試行錯誤を繰り返しています。
自分の身体が何かに触れるたびに、触覚のセンサーが働き、自分の身体の外側の情報を教えてくれます。

また、生活や遊びの中で、自分の手で自分の身体を触れる経験をたくさんします。
たとえば、お風呂で自分の身体を洗うとき。
自分の手で身体の様々な部位を自分で触ります。
このような経験を繰り返すことで、自分の身体の輪郭(ボディイメージ)が育まれていきます。

年齢を重ね、様々な姿勢や運動を経験していくことで、パッと見ただけで活動に適した身体の使い方が身についていきます。
つまり、初めて遊ぶ場所やものでも、思い通りに身体を動かして楽しめるということです^^
先ほどのトンネルくぐりでは、何度もおでこをぶつけることがなくなり、スムーズに通り抜けることができるようになっていくのです。

❸ 学習の土台

下の写真の2人の周りにはいろんな形の積み木がありますね。
生まれた頃は、見ただけではそのものがどんな形をしているかは分かりません。
触ったり、口に入れたりを繰り返すことで、少しずつ今触っているものがどんなものなのか、目の前にあるものが何なのかを学んでいきます。

このように、いろんな素材のものを触ることを繰り返すうちに、そのものの特性をっていきます。
そして、その経験は、小学校から始まる学習の土台になっているのです。
教科書に載っている三角形を見ただけで、それが三角と分かるというのは、幼少期にたくさんいろんなものを触ったり動かしたりしてきた経験があるからこそできることなのです。

気持ちのコントロール

ママにだっこされたり、トントンして貰ったり。
すると、うとうと眠たくなって心地よい気持ちになる子は多いですよね。
触覚は、気持ちのコントロールに大きく影響しているからなんです。

反対にくすぐり遊びをしたときは、キャッキャ笑ってテンションが高くなる子が多いですよね。
これも触覚の働きです。

触覚の刺激の種類によって、落ち着いたり、興奮したり。
気持ちのコントロールと密接に繋がっています。

おすすめの本

感覚統合Q&A 改訂第2版 ー子どもの理解と援助のために

いつもリィーノの保護者の皆さんや保育士・教師の皆さんにことあるごとに紹介している本です。
感覚についてとても分かりやすく書かれています。
また、よくある困りごとがたくさん載っていて、なぜそれが起こるのかを感覚の視点から説明がされています。
お子さんの対応を考えるヒントになると思います。

まとめ

今回は、自分の身体を知るための感覚の1つである“触覚”の役割についてお伝えしました。
生活や遊びの中での何気ない活動が、さまざまな育ちに繋がっていることを知っていただけたと思います。
それでは、触覚のはたらきのまとめです。

前庭覚のはたらき
  • 熱い、冷たい、痛いなど自分の身を危険から守る
  • 思い通りに手足や身体を動かす力の土台となる
  • 実際に触ったり、口に入れたりしながら、ものの特性を知っていく
  • 学習の土台
  • 気持ちのコントロール
  • 他の感覚と合わさって、姿勢や運動、学習、気持ちのコントロールの基盤に関わる。
目次