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このブログの内容は、
リィーノ発達ゼミのセミナー版の「応用編」でお伝えしているものです。
もっともっと子どもの理解者が増えてほしい!という思いでブログ版もスタートしました。
運動発達を学んで、目の前のお子さんの困りごとを考える材料になれば嬉しいです。
運動発達を学ぶことでどんなことに活かすことができるのかは、こちらの記事をお読みください。
今回からは○ヶ月ごろの運動発達と何ヶ月という数字が出てきます。
これは、あくまで目安であることを頭に叩き込んでおいてください。
人の発達はそう簡単なものではありません。
一人一人似たような動きをしながら育っていきますが、全く同じように育っていく赤ちゃんはいません。
これを知っておかないと、“○ヶ月(歳)なのに、まだ××しない!!”と不安が募ってしまいます。
大切なことは、目の前の赤ちゃんやお子さんがどの段階の身体の動かし方をしているのかということ。
では、今日も運動発達について楽しく学んでいきましょう^^
1ヶ月ごろの赤ちゃんの特徴は?
全身を丸めた姿勢
生まれてから4週目までの赤ちゃんのことを「新生児」といいます。
生まれたての赤ちゃんは、小さくてふにゃふにゃとしていて本当に愛おしいですよね。
約10ヶ月間、お母さんの子宮の中で過ごしてきた赤ちゃんは、とても小さなスペースにムギュッと入って過ごしてきました。生まれてきたら、どうやってお腹の中にいてたんだろうと不思議になるくらい。
お腹にいる間は、その小さなスペースで過ごすために、全身をぎゅーっと丸めた姿勢を取っていました。この状態が生まれてきてからもしばらく続くのが特徴です。大人が赤ちゃんの手足を伸ばしてみても、すぐに手足は丸まった状態に戻ってしまいます。この全身を丸めた状態のことを専門用語で「生理的屈曲」といいます。
原始反射による左右非対称な姿勢
もう一つは、原始反射に支配されているため、赤ちゃんは思ったように身体を動かすことができず、左右非対称な姿勢をとっています。そのため、両手を身体の正面で合わせたり、顔を身体の真ん中に持ってきたりすることができません(たまたま、顔を真ん中に向けたり、両手が当たったりすることはありますよ)。
いつごろから左右対称的な姿勢が取れるようになり、おもちゃを手で持って遊べるようになるのかお楽しみに^^
姿勢・運動の育ちを見ていこう!
では、赤ちゃんの育ちを見ていきましょう^^
写真を見ているだけで癒されますね♡
細かな知識も大切ですが、赤ちゃんの写真を見て癒されながら、こんな姿勢をしたり、こんな動きをしたりする時期なのか〜と捉えてもらえるだけでも十分学びになると思います。
ここからは、「うつ伏せ(腹臥位)」「あおむけ(仰臥位)」の2つの姿勢に大きく分けてお話しを進めていきます。6ヶ月以降は、いろんな動きができるようになってくるので、「おすわり(座位)」や「立った姿勢(立位)」など種類が増えていきますよ。
姿勢を分けて捉えると何が分かる?
赤ちゃんの運動発達が、幼児や小中学生の子どもたちの身体の使い方にどう関わってくるの?
こんなふうに思っている方って結構多いのではないでしょうか。私自身、運動発達を勉強し始めたときは、点と点の理解で止まっていてさっぱり繋がりませんでした(今もよくありますが笑)。
リハビリ職の方でも、発達分野に転職するのは…と控えてしまうのは、この繋がりがイメージしにくいからというお話をよく伺います。
0歳の運動発達が、幼児や学童期のお子さんの発達にどう繋がっていくのか少しお話をしてみたいと思います。
たとえば、下の女の子のように座って鉛筆で文字を書いているお子さんをイメージしてみてください。
このように座った姿勢を保ち続けられるのは、骨盤と両足で身体を支えられるから。また、鉛筆の操作が行えるのは、体幹や肩甲骨周りが安定しているから。(他にもいろんな要素が絡みますが、今回は運動発達の大枠を理解してもらうために、大きな身体の使い方に着目してお伝えします。)
これは、乳児期から幼児期(小学生に入ってからも)の間に、うつ伏せやハイハイの状態で身体を手足で支える経験を積み重ね、体幹が安定して使えるようになったから支障なく行えるのです。
また、あおむけやおすわりの姿勢で両手を合わせたり、おもちゃで遊んだり、両足を引き上げるような運動をしたり。このような動きを日々の生活の中で繰り返すうちに、自分の身体の真ん中(正中位)が分かるようになります。そして、左右をバラバラに動かすこと(分離運動)や手先の細かな操作といった複雑な動きが行える身体へと育っていくのです。
このように、いきなり活動に適した姿勢が取れるようになったのではなく、生まれた時からさまざまな姿勢や運動を経験する中で少しずつ育まれていきます。
赤ちゃんの運動発達が幼児期や学齢期にも繋がっていくことを知ると、
目の前のお子さんが苦手とする活動は、この動きが苦手だったのかな?
と繋ぎ合わせて考えるようになってきますよ♪
さらに、姿勢を分けて考えていくことで、どのような動きの発達に繋がっていくのかが分かりやすくなります。
それぞれの姿勢の特徴と発達の流れを知っておくだけでも、子どもたちのつまずきの理由やアプローチを考える上で役立ちますよ^^
うつ伏せの育ち
うつ伏せは、手足で身体を支えることができる姿勢。身体をどのように支えれば取り組みたいことに適した姿勢が取れるかに関わってきます。うつ伏せの姿勢は、のちにおすわり(座位)やハイハイ、歩行(独り歩き)といった身体を動かすことに繋がっていきます。
あおむけの育ち
あおむけは、体幹を布団に預けられるので姿勢が安定しやすく、呼吸もしやすい姿勢です。約6ヶ月ごろまでの赤ちゃんは、この姿勢で過ごすことが一番多いでしょう。あおむけで寝転がっているときに両手と両足を発見したり、ママパパを見つめたり、周りのものに興味を示したり。姿勢が安定しているからこそ、さまざまな自分の身体や外部の情報を集めることに適しています。
しかし、あおむけは姿勢が安定しやすい反面、活動がしにくい(遊びにくい)姿勢です。そのため、おすわりのころになると、少しずつうつ伏せになってみたり、おすわりをしてみたりと活動しやすい姿勢で過ごすことが増えていきます。
見るときのポイント:運動発達は流れを見ることが大切!
うつ伏せやあおむけの発達を追っていくときは、次の点に注目して見てみてください。
「1ヶ月のときは肩の位置がここにあったのに、2ヶ月になると位置がどう変わった!」
と流れてを見ていくと理解がしやすくなりますよ^^
そして、赤ちゃんと同じ姿勢を真似してやってみることが大切!
自分の身体を動かして確認していくことで、イメージがしやすくなりますよ。
うつ伏せ(腹臥位)の発達
それでは、1ヶ月ごろのうつ伏せの発達を見ていきましょう^^
なかなか生まれたての赤ちゃんをうつ伏せにするのは、怖すぎてご家庭ではしたことがない方がほとんどかもしれません。でも、カンガルーケアのときに、生まれたばかりの赤ちゃんをママの胸の上で抱っこしたことのある方は多いですよね。おうちに戻ってからも、大人の身体の上でねんねしたり、沐浴のときに背中を洗ったりなど知らない間にうつ伏せを経験しているんです。
生まれたばかりの赤ちゃんは筋力が弱く、頭や身体を持ち上げることができません。上の沐浴中の赤ちゃんもだらーんとしてママに身を預けていますよね。
お布団の上に赤ちゃんをうつ伏せで寝かしてみると、お尻(骨盤)がキュッと上がった状態になります。赤ちゃんは全身を丸めた姿勢が強いため、股関節を伸ばすことができず、骨盤が持ち上がってしまいます。
そうすると、体重は胸のあたりに乗ってきてしまいます。実際にこの体勢を取ってみると分かるのですが苦しいんです!(赤ちゃんと大人では手足・体幹の長さが違うため全く一緒の姿勢にはならないですが)なので、呼吸ができるように必ず左右どちらかに顔を向ける姿勢を取ります。
あおむけ(仰臥位)の発達
次に、1ヶ月ごろのあおむけの姿勢を見ていきましょう^^
生まれてからしばらくは、あおむけで過ごしている時間が長いと思います。オムツを変えたり、着替えをしたり、授乳のために横抱きをしたりと生活に必要なことはほとんどあおむけでしているのではないでしょうか。
約10ヶ月間、ママの羊水の中でプカプカと浮いて過ごしていた赤ちゃんは、生まれると「重力」と戦う環境に強いられます。なかなか過酷な状況です。
宇宙飛行士の方も、無重力空間でしばらく過ごすと、帰還した時には筋力がなくなっているというお話はよく耳にしますよね。そのイメージに近いと思ってもらうと、理解しやすいかもしれません。
あおむけは、身体をお布団やママパパに預けることができるため、赤ちゃんにとってはいちばん安定しやすく、呼吸もしやすい姿勢です。
安定しやすい姿勢だからこそ、原始反射に支配されていて身体を動かすことがとても大変な状況であっても、手足をむにゃむにゃと動かしやすいんです。ランダムにむにゃむにゃと手足を動かしている中で、少しずつ少しずつ丸まっている手足を“伸ばす”経験をしていきます。この手足を伸ばす動きが、自分の身体を思い通りに動かす育ちへと繋がっていくんです。
まとめ
おつかれさまでしたー!
今回は生まれて1ヶ月までの赤ちゃんの運動発達を見てきました。
たった1ヶ月でも目まぐるしく赤ちゃんは発達を遂げていますね。
では、おさらいしましょう^^
いかがでしたか?赤ちゃんの写真に癒されましたか?^^
読んだだけではなかなかイメージが付きにくいところもたくさんあると思います。
大切なことなので何度もお伝えしますが、
赤ちゃんの動きを真似して自分で実際にやってみることが、理解を深める近道です!
写真の赤ちゃんたちを参考にぜひ真似してみてくださいね!
文字だけでは伝え切れないこともたくさん。
普段のセミナー版では、この力が幼児や小学生のここに繋がっていくよー!困っているお子さんは、この動きが苦手で躓いているのかも?と具体的なお話をもっと混ぜながらお伝えしています。
もっと学びたい方は、セミナー版のリィーノ発達ゼミで一緒に勉強できることを楽しみにしています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたー!
オススメ本
運動発達を勉強する上でとても役に立つ本をご紹介します。
どれも何度も読んでいる愛読書たちです。参考になれば嬉しいです^^
人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長:灰谷 孝 著
「原始反射」について、調べ出すと沼にはまりますよね。。笑
原始反射がどんな育ちに繋がっているのかと具体的に書かれていてとっても分かりやすいです。また、それぞれの反射に対してのアプローチについても書かれているため、発達が気になるお子さんと関わられている先生方のお助けアイテムになること間違いなしです。
花風社さんの本はどれも読みやすくて本当にオススメです。
赤ちゃん はてな 赤ちゃんがわかる育ちのガイドブック:榊原 洋一 監修
保育士・教師の方など初めて運動発達を学ぶ方にはこの本がオススメ。
可愛いイラストと大まかな赤ちゃんの発達が学べます。
個人的には、まずは大まかに学ぶことをオススメします。
運動発達と反射ー反射検査の手技と評価:Marylou Barnes 著
PT,OT,STなどの専門職には、この本がオススメ。
内容はかなりマニアックですが、穴埋め問題を解きながら繰り返し確認しながら学んでいける構成になっていますよ。どんな発達に繋がっていくのかも詳しく書かれています。