お子さまに関するご相談・ご質問はお気軽にお問い合わせはウェブからのみとなります
言葉で説明することが苦手。言葉の土台を育む感触あそび
リィーノにご相談に来てくださるママパパたちや、小学校の巡回相談での先生からよくご相談を受ける「言葉」のこと。
特に、小学生以降になると、言葉で説明ができないと不安になられる方は多いのではないでしょうか。
よくあるご質問をいくつか挙げてみます。
語彙数が少ないんですが、どうしたら増えますか。
言葉で説明するのが苦手で、何を伝えようとしてくれているのかが分かってあげられないんです。
言葉から具体的なものや意味をイメージすることが苦手で、文章題や読解問題の理解ができません。
「言葉で説明する」といってもいろいろなものがありますよね。
特に小学校3-4年生ごろになると、理科・社会といった教科が増え、一気に抽象的な表現が授業でも多くなり、授業に付いていくこと難しくなってしまうお子さんも多いかもしれません。
- その日にあったことを話してくれるが、何の話なのか理解することが難しい
- 「あれ」「それ」「さっきと一緒」などの言葉を使って説明することが多い
- 算数の文章題、国語の読解問題の理解が難しい
- 経験したことがない話をするとイメージすることが苦手
今回は、リィーノの学習サポートクラスで言葉での説明が苦手なお子さんと取り組んでいる「感触あそびワーク」をご紹介したいと思います。
おうちで簡単にできるものなので、ぜひお休みの日に遊んでみてくださいね^^
言葉を育む感触遊びワーク
小学校に入学するまでは、幼稚園や保育所、公園などで思い存分身体を動かして、何事も全身で味わいながら遊んでいることが多いと思います。
小学校に入学した途端、宿題や習い事などで忙しくなり、このような時間は一気に減ってしまうと思います。
小学生になったからこそ、あえていろいろなものを触って感じて言葉で表現して…といったことをたくさん経験して、言葉の土台を育てていってほしいと思っています。
ここからは、リィーノでよくする感触遊びワークをご紹介しますね^^
おうちで簡単にできるので、遊んでみてくださいね!
とろとろしたものを触ってみよう!
ワークの手順は次のとおりです。
STEP1:言葉だけで聞く
「とろとろしたもの」には、どんなものがあるかな?
この質問ですぐに答えることができそうであれば、触ったものの感触と言葉のイメージは結びついています。
他の質問をいくつかしてみましょう。
STEP2:実際に触ってみる
言葉を聞いただけではなかなか思いつかない場合は、実際にその感触のものを触ってみましょう
リィーノでは、片栗粉を水で溶いたものを触りながら考えてもらいました^^
STEP3:他に同じような感触のものを挙げる
他に、今触ったものと同じようなものって知ってるかな?
最初は、触りながらゆっくりと考えさせてあげてください。
実際に触りながら考えることで、今までに体験したことのある記憶が引っ張り出しやすくなります。
分かった!液体のり!
触りながらイメージすることができるようになってきたら、言葉だけでイメージできるか確認してあげてください。
イメージできるようになってきたら、触った感覚と言葉がマッチングしてきた証拠です^^
いつでも「赤いもの」って何があるかな?
いつ見ても赤いものって何があるかな?
赤い服、赤いボールなどはダメだよ。
最初は、お家の中にあるものや絵本などを見ながら、赤いものを探すところから始めてみてください。
なかなか探すことが難しいときは「のりもので赤いものは?」とお子さんの得意なものや興味のあるものの中から聞いてあげてみてくださいね^^
赤といえば…とイメージを広げていくことで、言葉で表現する力が育まれていきますよ。
消防車!
トマト!
丸い形のものをイメージしてみて!
丸いものって、どんなものがあるかな?
お部屋の中にないもので考えられるかな?
家の中や絵本の中から探さなくても思いつくようになってきたら、お子さんの力だけで思い出せるか挑戦してもらいましょう。
ボール!
りんご!
このワークに慣れてきたら、ママパパよりもたくさん思いつくか競争してみたり、イメージしたものを書き出した後にいくつ同じものを思いついたかビンゴ形式で遊んでみたり。
少しルールを変えて、家族やお友だちと楽しんでみてくださいね^^
言葉の力を育むためには?
言葉の専門家としては、言語聴覚士が知られていると思います。
言葉の相談をしに行ったのに、「作業療法が始まった…」という経験がある方もいるかもしれません。
実は、言葉の育ちには、7つの感覚と身体の育ちが大きく関わっています(下図参照)。
つまり、感覚や姿勢・運動を育んでいくことで、言葉の土台が築かれていく可能性があるということです。
そのため、言語療法よりも先に作業療法からスタートするというケースも少なくありません。
今回お伝えした感触あそびワークは、言葉の一番の土台となる「感覚」の部分にアプローチをしたものになります^^
子どもたちは、普段の生活や遊びの中で、いろんなものを触ったり、操作したりしていますよね。
そのタイミングで、自然と大人たちからのさまざまな言葉がけを子どもたちは聞いているんです。
つまり、感覚や姿勢・運動を育んでいくことで、言葉の土台が築かれていく可能性があるということです。
そのため、言語療法よりも先に作業療法からスタートするというケースも少なくありません。
今回お伝えした感触あそびワークは、言葉の一番の土台となる「感覚」の部分にアプローチをしたものになります^^
子どもたちは、普段の生活や遊びの中で、いろんなものを触ったり、操作したりしていますよね。
そのタイミングで、自然と大人たちからのさまざまな言葉がけを子どもたちは聞いているんです。
例を1つ挙げてみますね。
水あそびをしているとき
わぁ、お水冷たいね〜!ひんやりするね〜
この感触を“冷たい”と言うのかあ。
といったように。
伝えたタイミングでリアクションはないかもしれないけれど、大人からの言葉がけをもとに、触ったものの感触と言葉のマッチングを図っています。
子どもたちは遊びの中で自然と学んでいるんですよ^^
7つの感覚については、「感覚」ってなあに?運動・学習・社会性の基盤となる7つの感覚にて解説しています。
もっと詳しく学びたい方は、チェックしてみてください。
リィーノっ子たちの成長
実際に、このワークを取り組み組んだ小学校4年生のリィーノっ子たちの成長話をご紹介させてください^^
リィーノ学習サポートクラスでの様子
問題です!ツルツルしたものってどんなものがあるでしょう?
(机やでこぼこの壁を触りながら)これってツルツル!?ツルツルやんな!?
あれやん。あれ。家にあるやん…
といった会話から始まりました。
これは、「ザラザラやなあ」「あれってどんな形してるものかなあ?」と一つずつ確認しながら進めていくこと3ヶ月。
問題です!チクチクしたものってどんなものがあるでしょう?
鉛筆の先!!(触りながら)これチクチクしてるよ!
うーん、あれやん。画びょうやったかなあ。
3ヶ月前は、言葉と感触のイメージが結びついていなかったリィーノっ子たちでしたが、さまざまな素材に触れて言葉で表す活動を繰り返すことで、実際に触ったり見たりしなくても、言葉からイメージができるようになっていきました^^
この力を育んでからは、算数の文章題の問われている意味が格段と分かるようになり、立てた式について説明することも上手になってきています。
学習サポートクラスで大切にしていること
リィーノの学習サポートクラスでは、プリント課題をどんどん進めていくというよりも「学習の基礎」に時間を費やします。
基礎というのは、基本的なこと、簡単なことといったものではなく、土台のこと。
小学○年生だからこのプリントをするといったものではなく、今回の感触遊びワークのように、お子さんが分かるところまでとことん戻って、その部分をしっかりと築き上げていきます。
なかなか学校のテストの点数があがるといった目に見えた成長を最初は感じにくいのですが、続けていくことでパズルのピースがはまったかのように、急に学力が伸びてくるお子さんがとても多いように感じます。
これは、基礎をしっかりと築き上げたからこその成長だと考えています。
まとめ
「感触あそび=小さな子どもたちがするもの」というイメージがあるかもしれませんが、学習の土台になるものということを知っていただけたかなと思います。
紙の種類1つとっても、さまざまな素材のものが家の中にはきっとあるはず。
遊びながら楽しく言葉の土台を育んでもらえるきっかけになれば嬉しいです^^
今回の内容のまとめです。
- 言葉は、7つの感覚と身体の使い方(姿勢・運動)を土台として育まれていく。
- 7つの感覚と身体を育んでいくことで、言葉の育ちにつながる可能性が高い!
- 実際にいろんな素材のものを触りながら、感触と言葉との結びつきを育もう。
- 赤いもの!丸いもの!など色や形をお題にして、おうちにあるものを探し回ってみよう!