“そーっと”を伝えるコツ。声かけの仕方でものを大切に扱う力が育つ!

もっと、そーっと入れなさい!!

おもちゃの片づけする時に、放り投げるようにして片付ける子どもたちは多いですよね。
ついつい「そーっとして!」と叱ってしまうことってよくあることだと思います。

どうしたら、物を大切に扱えるようになりますか?


ものを丁寧に扱う方法について、保護者や保育士・学校の先生からよくご相談お受けします。

せっかく買ったものなのに…どうしたら丁寧に扱ってくれるんだろう。
単純にうるさい!!とイラッとしたり。(おもちゃのぶつかる音ってすごい音ですよね(笑))
今回は、ちょっとした声かけのコツと力加減を育む遊びをご紹介します。

この記事を書いた人
Aya

プロフィール

  • こども専門の作業療法士
  • リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
    (発達が気になる、学習につまずきのある子の教室)
  • リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
    (子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ)
  • 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
  • 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
目次

声かけの仕方を変えてみよう!

「そーっと」以外の言葉を使おう

「そーっと置いて!」ついつい言ってしまうフレーズですよね。
この「そーっと」という言葉は、子どもたちからするととっても曖昧な表現なんです。
「そーっと」という感覚は人によって異なるからです。
ママとパパが思っている「そーっと」のレベルもそれぞれきっと違うはず。
なので、子どもたちにとって明確に分かる言葉で伝えてあげることがとても大切です。

例えば、

Aya

音が鳴らないように置いてね〜!


耳で結果が分かるように伝えたり

Aya

倒れないように置いてね〜!

目で見て分かるように伝えたり

そうすると、何をしなければいけないのかが子どもたちの中で明確になるため、慎重に取り組もうとしてくれます。
ただ単に、何をしなければいけないのかが分かっていないことも多いので、大人が少し声かけを変えてあげることでできるようになる子もたくさんいますよ^^

ごっご遊びの延長で

車が大好きなお子さんとミニカーを片づけるときは、

Aya

「運転手さーん!駐車お願いしまーす!バックオーライ♪」

とごっこ遊びの延長で、ミニカーを整列させたり。

Aya

「お届け物お願いしまーす!」

と配達屋さんごっこしながら玩具箱まで運んでもらったり。
(印鑑を押す動作を入れると気分良くやってくれる子が多い気がします(リィーノ調べ)。)

「お片付け=嫌なこと」という方程式が成り立っているお子さんが多いので、気づいてたらお片付けが終わってるという方向に持っていくのもひとつです。

単純に、「10数えるまでによーいドン!」「ママとどっちが早くお片付けできるかな?」と競争を楽しみながら、お片付けができる子も多いです。
が、日に日に勝負に乗って来てくれなくなってしまうこともよくあるパターン。

昨日はこの方法でいけたのに、今日はなぜかのらない…(くそぅ…)
っということはよくあることですよね。
その日その日で子どもたちの気分も違うから難しい。
だけど、夢中になってる遊びがヒントになることは多いですよ♪

おうちでできる”そーっと”を育む遊び

目印までジャンプ!

ジャンプが好きな子どもたちは多いですよね!(なぜあんなに好きなのかなあ)
「この線までジャンプ!」
「このブロックをジャンプで越えて!」
など、ちょっとルールを入れてみましょう♪

ルールができるとそれを達成するために、身体の動きを調整する必要がでてきます。
自分が思い描いた通りに身体を動かすためには、全身の力をコントロールしなければいけません。
最初は失敗して当然。
次こそはー!!と何度も何度も遊びの中で試行錯誤することで、身体を上手に使える力が育っていきます。

粘土あそび

粘土あそびが好きなお子さんの場合は、“ママが作ったのと同じもの作って!”とお願いしてみましょう。
(お願いを受け入れてもらえない時は、思うがままに作ってもらいましょう笑)
ママが作ったものと同じ厚さ・形になるように、夢中で作り始めてくれるかもしれません。

粘土は、丸めたものを押しつぶすと、ぺったんこになる変化が目で見てはっきりと分かります。

粘土あそびで力加減を育むときのポイント
  • 同じ厚さ・形になるように
  • 自分が思った通りに

上記のポイントを達成するためには、手指の力のコントロールが必要になります。
微妙な力加減を遊びの中で経験が積めると、丁寧なものの扱い方に繋がっていきます。

粘土が嫌なお子さんの場合は、透明なビニール袋の中に粘土を入れてあげましょう。
手が汚れないことが分かると、やってみようと思う子もいるかもしれません。
でも無理強いは禁物です。

つみきあそび

積み上げたり、並べたり。
とても力加減が必要になる遊びのひとつ。
両手で倒れないように押さえたりと、全身で力加減の調整を育めますよ。

壊さずに扱えるようになるの?

力の入り具合を教えてくれるセンサー

筋肉には、「今どれくらい力が入ってるよー!」「今身体がこんなふうに動いてるよ!」と教えてくれるセンサーが付いています。このセンサーを「固有受容覚」といいます。
このセンサーは、人によって感じ方が異なります。感じやすい人も感じにくい人もいるんです。
このセンサーの働き具合によっても、力加減の育ちは変わってきます。

固有受容覚については、自分の身体を知るための感覚。「固有受容覚」ってなあに?をお読みください。

年齢で変わる力加減

力加減にも発達の順番があります。
まず、子どもたちは身体を大きく動かす遊びの中で、身体をコントロールする力を育みます。
そして、少しずつ手先の細かな操作の中でも、微妙な力加減を調整できるようになってきます。

4歳ころまで

今どれくらい自分の身体に力を入れているのかを知る感覚が育まれている途中。
また、玩具箱やお友だちなど相手と自分との距離感を掴むことや、物に合わせて身体を動かすことも十分に育ちきっていません。

そのため、子ども本人は、そーっと片付けているつもりが力加減がうまく調整できず、力任せに片付けているように見えてしまうということが起こります。

Aya

年齢的に難しいこと!わざとじゃないんです!

4歳ころから

少しずつ力加減を調整したり、距離感を掴んだりという力が育ち、自分が思った通りに身体を動かせるようになってきます。完全に調整ができるようになるのは小学校低学年くらいと言われていますが、個人差があるので、あくまで目安と思っておきましょう。

まとめ

物を扱えるようになるためには、力加減という身体の発達が大きく関わっています。
生活や遊びの中で、たくさん身体を動かしたり、製作あそびをしたりしてみてくださいね!それが一番の近道です^^

それでは、今回のまとめです。

  • そーっと片付けられないのは、わざとではない!
  • 「そーっと」は曖昧な表現なので、子どもがはっきりと分かる声かけをしよう。
  • 目や耳でしたことが確認できる声かけが有効的。
  • 力加減を育む遊びをしてみよう。
  • 力加減は、大きな動きから細かな動きの順に発達する。
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