字が書けない、マス目からはみ出る。その原因と楽しく育むコツ

文字を写すことが苦手。
とめ・はね・はらいがうまくできない。

板書が苦手。
文字がマス目の中に収まらない。

このような相談を保護者さんや学校の先生からよく伺います。

「もう!怠けてないでちゃんと綺麗に書きなさい!!」

よくあるやりとりですよね。
このやりとりが始まると、子どもは「もう!文字なんか書かない!」とそっぽを向き、その態度に余計大人はイライラしてしまう…という悪循環。

これを断ち切るためには、書けない理由を知ってあげることです。
繰り返し練習してもうまくいかないことの方がほとんど。
怠けているわけではないかもしれないと違う角度からお子さんの様子を見ていきましょう!

この記事を書いた人
Aya

プロフィール

  • こども専門の作業療法士
  • リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
    (発達が気になる、学習につまずきのある子の教室)
  • リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
    (子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ)
  • 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
  • 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
目次

まず、遊びながら確かめてみて!

「まねっこしてみてー!」とお子さんが気分が良さそうな時にやってみてもらってください。
もしできなかったとしても、「なんでできないの!」は禁句です。
苦手なところがあった場合は、遊びの中で少しずつ育んでいきましょう!
苦手なところが見つかったというのは次へ進む対策が錬れる大きな一歩です。
もし不安な点があれば、お気軽にご相談くださいね^^

指の動きをチェック!

次の4つの形を指で作れるかチェックしてみてください。

  • グー・チョキ・パー
  • ピストル・キツネ
  • 指折り
  • 親指とその他の指の腹を1本ずつ合わせる
Aya

このとき、肩周りに極端に力が入っていないかな?と合わせて見てみてください。

姿勢をチェック!

鉛筆を持っているときや食事のときなど机に向かって作業をしているとき、どんな姿勢で取り組んでいるかを確認してみてください。

  • 極端に肩周りに力が入っていないかな?
  • お尻が前の方にずれて座っていないかな(社長さん座り)?
  • 鉛筆を持たない手で、紙やノートを抑えているかな?

目の動きをチェック!

頭は動かさずに、目だけを動かして次のような目の動きができるかどうかチェックしてみましょう。
ボール遊びや間違い探しなど、遠くから近くを見たり、見比べたりする活動の中で観察してみるのも1つです。

  • 左右・上下に首は動かさずに、目だけを動かす(目で追えるかな?)
  • 寄り目(遠い所から近くを見る)、離し目(近い所から遠くを見る)
  • 目で円を描く

いかがでしたでしょうか?
できたもの、できなかったものいろいろあるかもしれません。
お子さんがやってくれないときは、無理強いはせず、普段の様子をじっくり見てみると、新たな発見があるかもしれません。

  • これは、あくまでも私が子どもたちを見るときによく確認する簡易なチェック項目です。
  • 個人差があるので、これが全てではありません。
  • うまくできず不安になった場合は、いつでもご相談ください。

どうして文字が書けないの?

上記のチェック項目で、実際に字を書いているところは、姿勢のところだけですよね。
それ以外は全て、身体の使い方について確認してもらいました。
これらの動きが、文字を書くことと何の繋がりが?と思っている方もいるかもしれません。
文字を書くことが苦手な理由は、怠けているのではなく身体の使い方が影響していることがよくあります。

よくある難しい理由を3つ挙げてみます。

  1. 指をバラバラに動かすことが難しい
  2. 姿勢を保つことが苦手
  3. 学習に必要な見る力が弱い
Aya

1つずつ解説していきますね。

指をバラバラに動かすことが難しい

鉛筆を持って字を書くためには、5本の指を細かくバラバラに動かす必要があります。
特に、とめ・はね・はらいに注意して書こうとすると、指先の微細な力加減がが大きく関わります。
この5本の指を細かくばらばらに動かすことが難しいのかもしれません。

また、適切な力加減で操作するためには、自分の身体を知るための感覚(固有受容覚)の感じ方が関わります。
この感覚をうまく感じられていないことにより、操作が難しい可能性も考えられます。

固有受容覚の働きについては、自分の身体を知るための感覚。「固有受容覚」ってなあに?の記事をご覧くださいね!

姿勢を保つことが難しい

指をばらばらに動かすためには、安定した姿勢が必要になります。
机に突っ伏したり、お尻がずれ落ちるような姿勢は、滑らかに手を動かすことが難しくなってしまいます。
姿勢を保つことに精一杯力を注いでいることで、字を書くことが難しいのかもしれません。

学習に必要な見る力が弱い

見る力というのは、視力だけではありません。
私たちは、たくさんある情報の中から必要なものを見つけたり、2つのものを見比べたり、空間を捉えたりといった力を持っています。
この見る力のおかげで、文字を読んだり、書いたりすることができます。
この力が弱いと、文字を書くことが難しくなってしまうのです。

文字を書く力を育むおうち遊び

さあ、アプローチの方法はもうお気づきの方も多いはず。
今まで挙げてきた身体の使い方を遊びや生活の中で育んであげると、必然的に文字を書く力も育ってくるということです^^

風船バレー

最初は1対1でチャレンジしてみましょう!風船はゆっくりと飛んでくれるため、目で追いやすいんです^^

風船バレーは、遠く(相手)から近づいてくるのを見て、タイミングのいいところで打ち返さないといけません。
このとき、遠いところから近づいてきたものを見るためには、目でピントを合わせる動きが必要になります。
これが”寄り目”の運動です。

目の動きと身体の動きは、連動しています。
これが、文字を書いたり、板書をしたりするための力へと繋がっていきます。

文字づくり

マスキングテープ、爪楊枝、石ころ、身近にあるもので文字を作ってみましょう!
鉛筆で書くということから離れることで、苦手意識が軽減します。
様々な素材を使って文字をかたどることで、知らない間に手先の器用さを育めます^^
また、どんな形になっているのかな?と見本を見比べたり、見本の上に作ったりする中で、自然と見る力も育めますよ。

昔あそび

アルプス1万尺、なべなべ底抜けなどの昔あそびは、身体を滑らかに動かす要素が山盛り!
道具要らずで簡単にできるので、とってもオススメです!

簡単にできるだけでなく、”相手が手を出すタイミングに合わせて自分の手を出す”といった、身体と目の動きの連携や滑らかに身体を動かす力を育むことができます。

Aya

この遊びを考えた昔の人、本当に凄いなあと毎回感心してしまいます。

リィーノっ子の成長話

知らん間に書けるようになってる!今までで一番綺麗な字が書けたよ!ママ見てー!!

今日は書く練習をいっぱいするのかと思ってドキドキしてたけど、違って楽しかった!まだ遊びたいなあ!

ノートのマスの中に字が収まらないというご相談をきっかけに、リィーノで一緒に取り組んでいたお子さんが笑顔で言ってくれた言葉です。
この言葉は、私たちが目指していたことだったので、すごく嬉しかったです。

子どもは散々辛い思いをしながら苦手な活動に取り組んできています。
その状態からさらに頑張れ!と伝えるのは、さらに追い込んでしまうようなもの。
「楽しく遊びながら、知らない間になんかできてた!」を私たちは大切にしています。
楽しくないと”やりたい!”って大人も思わないですよね。
子どもたちも一緒です^^

まとめ

文字が書けない理由は、子ども一人ひとり異なります。
書字には、さまざまな育ちが関わっているので、いろんな視点から探ってあげる必要があることを知っていただけると嬉しいです。

それでは、今回のまとめです。

  • 文字が書けない理由は、怠けているわけではないことがほとんど!
  • 文字を書くには、身体や目の使い方が大きく関わります。
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