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動き回る(多動)子どもとどう関わるといいの?
前回、子どもたちが動き回る理由はいろいろあり、子ども一人ひとり理由は異なるということをお伝えしました。
前回の記事はこちらからどうぞ。
子どもはどうして動き回るの?その理由を考えてみよう♪
今回は、それらの理由からどんな対策を練れば良いかというアプローチについて考えてみたいと思います。
日々、子どもたちと関わるママやパパたちは様々な工夫をされていることだと思います。
このやり方で合ってたんだ!
こんな考え方や方法もあったんだ!
と思いながら読んでいただけると嬉しいです。
声掛けの仕方や環境を少し変えるだけで、うまくいくようになることもありますよ^^
プロフィール
- こども専門の作業療法士
- リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
(発達が気になる、学習につまずきのある子の教室) - リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
(子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ) - 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
- 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
どうしたらいいの?
それでは早速、アプローチを4つご紹介します。
- 見通しを持たせてあげる
- 身体を使う遊びをしよう
- 活動する場所の環境を確認しよう
- サポートグッズを使ってみる
1つずつ解説していきますね。
見通しを持たせてあげる
活動に向かってほしいときにその場から離れていってしまう、立ち歩いてしまう。
もう!どこ行くの!と引き戻したくなることってあると思います(よく分かります)。
その場から離れてしまっても、(一瞬でも)戻ってくることができたら、まずは戻ってこれたことを褒めてあげてください。
今は何をする時なのか、今はどこにいるべきなのかを教えてあげるところから始めてみてください。
今何をするときなのか見通しが持てていない場合もよくあります。
絵カードなどを使って目で見て確認できるものを使うこともオススメです。
最初は数十秒しか待てないこともよくあること。
繰り返し経験していくことで、少しずつ待つ時間も延びていく子が多いですよ。
身体を使う遊びしよう
手足で身体を支える活動
宿題や食事など座って取り組む必要がある活動の前に、身体をしっかり動かす遊びをしておきましょう!
身体にしっかりと自分の身体を知るための感覚(触覚・前庭覚・固有受容覚)を入れてあげると、身体が落ち着きやすくなります。
私たちも運動した後は、リフレッシュした気分になりますよね。
その感覚に近いです。
例えば
- 四つ這いで家の中を探検したり。
- 重たいものを引っ張ったり、押したり、運んだり。
- その場でジャンプをしてみたり。
電車の中や静かにしなければいけない場所で身体が動かせない場合は、指相撲など座りながらできる力を入れる活動などでリフレッシュして貰うのもいいと思います。
感覚については、「感覚」ってなあに?運動・学習・釈迦生の基盤となる7つの感覚をお読みください。
ゆっくりな動きをプラス
ダイナミックに身体を動かして遊ぶことも楽しいですが、その中に少しだけ考えないと達成できないような課題を取り入れてみてください。
例えば
- ブロックが倒れないように通り抜ける
- 丸印にピタッと合うようにジャンプで着地する
- ジェンガなどゆっくり動かさないと倒れてしまうことがはっきりと目で見て分かる活動
少し工夫が必要になる活動を行なっていくことで、力加減を知っていきます。
そして、自分の身体の動きを止めることを学んでいきます。
自分の身体の動きをコントロールする力が育つと、気持ちをグッと堪える力も育まれていきます。
活動する場所の環境を確認しよう
食事や宿題などどうしても座って活動に取り組む必要があることも生活の中では多いですよね。
「座りなさい!」では聞いてくれないことも多いはず。
一度、座っている椅子や部屋の環境を確認してみてください。
いろんなものが目に入る場所では、どこに注目していいかが分からず、動き回ってしまうことが多くあります。
食事や宿題をするときは、周りに何もないところで取り組んでみる(掲示物のない壁に向かって座る)のも一つです。
座る場所の環境を少し変えることで、落ち着く子も多いですよ♪
サポートグッズを使ってみる
今はいろいろな座ることをサポートしてくれるクッションも売られています。
ムービングクッションを座面に置いてみたり、足元に足つぼマッサージの版を置いてみたりすることで、常に身体に刺激が入ることで集中しやすくなるお子さんもいらっしゃいます^^
ムービングクッションに座ると、バランスボールの上に座っているような感覚になります。
座面のボコボコな感じや体重移動によるクッションの空気の動きが常にお尻から入ってくるため、自分の身体を知るための感覚(触覚・固有受容覚・前庭覚)を感じられます。
傾斜が付いているものは、座ると骨盤を起こしてくれる効果もありますよ^^
私も実際に使っていますが、猫背になってしまうタイプの方にはオススメです。
どうして動き回っているの?
活動中に動き回っているお子さんの中には、今何をしたらいいのかがいまいち分からない場合もよくあります。
大人が気づきにくいところで戸惑っていることがあるのかもしれません。
一例を挙げてみるので参考にしてお子さんの様子を見てみてくださいね。
見ていてもよく分からない場合は、いつでもご相談くださいね。
- ノートの紙が眩しく見えて、見辛いのかも
- 大人が発した言葉の意味が分からなかったのかも
- 形を捉えるのが難しく、問題を解き方が分からないのかも
- 今何をするときなのかが分からないのかも
その他の理由については、子どもはどうして動き回るの?その理由を考えてみよう♪の記事でご紹介しています。
活動に取り組むときは
机上課題など落ち着いて取り組んで欲しい活動のとき、集中しているけれど姿勢が気になるということも多いかもしれません。
私がよく保護者の方々にお伝えすることは、頑張るのはどちらか一つにしてあげて欲しいということ。
- 姿勢が悪くても集中して課題に取り組んでいる場合は、課題を頑張っていること以外は目をつむる。
- 姿勢は、楽に座れるようにサポートグッズに頼ってみる
- 運動遊びの中では、身体を正しく使えるようにトレーニングを頑張ってもらう。
つい、声かけしたくなる気持ちはすごく分かりますが、グッと堪えてあげて!
このように、どちらか1つに焦点を当てて、取り組んでもらうようにしています。
そして、どちらかが落ち着いてきた頃を見計らって、少しずつ机上課題でも姿勢がある程度保てるように声かけやサポートをしながら意識づけを始めてもらっています。
どちらも一気に頑張るということは、子どもたちにとっては負荷がとても高くなります。
私たち大人もいきなり苦手なことを2つ同時に取り組むなんて、疲れてしまうことはイメージできますよね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「じっとしなさい!!」とついつい言ってしまいたくなる気持ちはすごく分かります。
余裕があるときに、どうして動き回っているんだろうと理由を少し考えて頂くだけで、お子さんにとってより効果的なアプローチ方法が見えてくると思います。
困ったときはいつでもご相談くださいね!一緒に考えていきましょう。
それでは、今回のまとめです。
- 動いていいときが分かるように見通しを持たせてあげる
- 身体を動かす遊びを通して、自分の身体の動きを止める力を育む
- 活動を取り組む場所の環境を見直してみる
- 姿勢を保ちやすくするためのサポートグッズを使ってみる
- 実は何か困っているサインかも。
- 活動に集中することと身体の動きをコントロールすることは分けて練習する