
固有受容覚は、自分の身体の動きや位置、力加減に関わり、私たちは思った通りに身体を動かすことができます。例えば、ボタンを目で見て確認しなくても片手で留めることができたり、イメージした形にはさみで切ったり、新しいスポーツや趣味などのスキルをアップしたりできるのは、この感覚がしっかりと働いてくれているから。
では、もしこの固有受容覚がうまく働いてくれないとどうなるのでしょうか。
固有受容覚の働きを知ると、不器用さや身体の動きのぎこちなさのの理由が分かるかもしれません^^
固有受容覚がどんな働きをしているのかについては、こちらをご覧ください。
固有受容覚の感じ方は人それぞれ

固いお煎餅が好きな方もいたら苦手な方もいますよね。お煎餅を噛むときにグッと顎に力が入りますよね、そのグッと力が入ったときに働いてくれるのが固有受容覚です。また、足が痺れてしまったときのことをイメージしてみてください。どれだけ足に力が入っているかが分かりにくく、しっかりと立てない…という経験を一度はしたことがあるのではないでしょうか。
子どもたちの中には、普段の生活の中で、グッと力を入れた時しか自分の身体に力が入っている感覚が掴めなかったり、どのくらい力が入っているのかが分からなかったりというふうに感じている場合があります。
つまり、固有受容覚の感じ方は人それぞれ異なるということ。
“どうして何度も練習しているのに運動会のダンスが覚えられないの?”
“どうしてはさみやお箸の使い方がなかなか定着しないの?”
“そーっとおいて!と何度言っても乱暴にものを扱うんだろう?”
この理由は、この固有受容覚の感じ方が影響している可能性があるという訳です。
また、この感じ方は、時間帯や体調によっても変わります。
先ほど例に挙げた足の痺れ。私たち大人も痺れない時と痺れる時とあると思います。子どもたちは、まだまだ感覚の発達も育ち段階です。昨日うまくできていたのに今日うまくいかないのは、昨日よりもちょっと感じ方が違うのかな?と見てあげるとイライラする気持ちを少し抑えられるかもしれません。
固有受容覚がうまく働かないと

感じ方はみんなそれぞれ異なることを知って頂けたと思います。では、固有受容覚がうまく働かないと、日常生活の中でどのような影響があるのでしょうか。
よくある例を挙げてみたいと思います。
- 手先が不器用で、道具操作が苦手
- 何度練習しても、運動会などのダンスの振りを覚えられない
- リズムに合わせて、お友達と合わせて身体を動かすことが苦手
- 筆圧のコントロールが難しく、マス目から文字が大きくはみ出てしまう
- 物の扱いが乱暴に見える
- お友達とのトラブルに発展しやすい
- とっても疲れやすい
- 気持ちのコントロールが難しい
注)上記に挙げた例は、固有受容覚以外にも様々な要因が絡んでいることの方がほとんどです。
固有受容覚の働きを思い出していただくと、このようなことが起きるかもしれないということがイメージしやすいと思います。
つまり、子どもたちはやる気がなくて読むのが難しい筆圧の薄い字を書いたり、わざと乱暴に物を暑かったりしている訳ではないことがよくあるということです。うまく行かない理由に、身体の感覚の感じ方が影響しているかもしれないということを知っていただくことで、アプローチの仕方が変わり、お互いのストレスは軽減できるかもしれません^^
どうしたらいいの?
固有受容覚を感じやすいタイプと感じにくいタイプでは、アプローチが変わってきます。また、日によって感じやすいときと感じにくいときが混ざっていることもあります。
固有受容覚を感じやすいタイプには

無理強いは絶対にしない!
もしかすると、力を入れることに対して、足が痺れたときのような不快感を抱いているかもしれません。足の痺れの状態の中で、身体を動かそうとするのは不安が高いということはイメージしやすいですよね。特に、偏食のあるお子さんは、味よりも食べ物の食感が苦手で食べられないということもあります(余談ですが、私はもなかや素麺などの柔らかいもの全くダメ…笑)。どんな素材を嫌がる傾向があるか一つずつ調べていくと、嫌がる食べ物の傾向が見えてくると思います。無理強いはせず、慎重にいきましょう。
夢中になる遊びの中で
固有受容覚はいろんな遊びの中で経験することができます。特に、本人にとって夢中になる遊びでは、嫌な感覚は抑えることができます(嫌なことを気付きにくい)。だからといって、好きな遊びに嫌なことをたくさん入れすぎると、好きなものさえも嫌いになってしまう可能性があります。
ママに抱っこして貰いながら、しがみつく遊びをしてみたり。触れながら(触覚)、揺れながら(前庭覚)ママという安心な場所の中だからこそ、力を入れてしがみつくことも楽しく感じるかもしれません。
でも、この加減はとても難しいもの。困ったときは、1人で抱え込まずに専門家に相談してくださいね!
固有受容覚を感じにくいタイプには

圧がしっかりと入る遊びを
触覚の記事の中でもお伝えしましたが、四つ這いや手のひらで粘土のお団子を押しつぶすなど手足にしっかりと力が入る活動を、たくさん取り入れてみてください。これらの活動は、筋肉にどれくらい力が入っているかを教えてくれる固有受容覚がしっかりと働いてくれます。そのため、自分がどのように身体を動かしているのかをイメージしやすくなります。
ふれあい遊びもオススメ。今触られている部位がどこなのか、目で見て確認できるところから圧をしっかりとかけながら触ってあげてください。自分の動きや触られている部位を目で確認することで、少しずつ自分の身体の動かし方が育まれ、身体を滑らかに動かす力へと繋がっていきます。
重たいものを運んでもらおう
お買い物したものや幼稚園のかばんなど自分で持ってもらいましょう!生活の中で、両手で物をしっかりと持つ経験をたっぷりさせてあげてください。お手伝いには、身体を育む要素がたくさん溢れています。
時間のある日は、おうちでママパパとお相撲さん遊びもトライしてみて。「押す」という動きは、筋肉にたくさん力が入るため、固有受容覚を感じやすくなります。
まとめ
☑︎固有受容覚の感じ方は人それぞれ。
☑︎不器用やぎこちなさは、固有受容覚の働きが大きく関わっている。
☑︎固有受容覚が感じやすいタイプ(慎重さん)は無理強いは絶対にしないこと。
☑︎固有受容覚を感じにくいタイプは、四つ這いや重たいものを運ぶなど力が身体に入っていることが分かりやすい活動をたくさんしよう!
昨日できていたのに、今日はできない…どうしてなの…
このように不安になったり、イライラしたりということはよくありますよね。
ママパパにとって大切な大切なお子さんのことなので、そのような感情になって当然です。
今回お伝えした「感覚の感じ方」を知っていただくだけで、少し子どもの言動を理解しやすくなり、ご自身を責めなくてすむことも多いと思います。
“そんな日もある!”と思っていただけるきっかけになれば嬉しいです。