「固有受容覚」がうまく働かないとどうなるの?

固有受容覚は、自分の身体がどんなふうに動いているのか、どの位置にあるのかを教えてくれたり、力加減に関わる感覚です。
この感覚のおかげで、私たちは思った通りに身体を動かすことができます。

例えば、ボタンを目で見て確認しなくても片手で留めることができたり、イメージした形をはさみで切ったり、新しいスポーツや趣味などのスキルをアップしたりできるのは、この感覚がしっかりと働いてくれているから。

では、もしこの固有受容覚がうまく働いてくれないとどうなるのでしょうか。
固有受容覚の働きを知ると、不器用さや身体の動きのぎこちなさのの理由が分かるかもしれません^^

固有受容覚の働きについては、固有受容覚ってなあに?【自分の身体を知るための感覚】の記事をご覧ください。

この記事を書いた人
Aya

プロフィール

  • こども専門の作業療法士
  • リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
    (発達が気になる、学習につまずきのある子の教室)
  • リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
    (子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ)
  • 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
  • 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
目次

固有受容覚がうまく働かないと、どうなるの?

固有受容覚がうまく働かないと、日常生活の中でどのような影響があるのでしょうか。
よくある例を挙げてみたいと思います。

  • 手先が不器用
  • 運動会のダンスを何度練習しても覚えられない
  • はさみやお箸などの道具操作がぎこちない
  • 「そーっとおいて!」と繰り返し声かけをしても、乱暴にものを扱ってしまう
  • 力加減が難しく、友達を強く叩いてしまう
  • ノートのマス目に文字を収めて書くことが苦手
  • 筆圧のコントロールが難しい
  • とっても疲れやすい

上記に挙げた例は、固有受容覚以外にも様々な要因が絡んでいることの方がほとんどです。

どうしたらいいの?

固有受容覚を感じやすいタイプと感じにくいタイプでは、アプローチが変わってきます。
また、日によって感じやすいときと感じにくいときが混ざっていることもあります。

感覚の感じ方については、感覚の感じ方はみんな違う!?の記事をお読みください。

固有受容覚を感じやすいタイプには

無理強いは絶対にしない!

もしかすると、力を入れることに対して、足が痺れたときのような不快感を抱いているかもしれません。
足の痺れの状態の中で、身体を動かそうとするのは不安が高いということはイメージしやすいですよね。
特に、偏食のあるお子さんは、味よりも食べ物の食感が苦手で食べられないということもあります。

Aya

余談ですが、私はもなかや素麺などの柔らかいものが全くダメです笑

どんな素材を嫌がる傾向があるか一つずつ調べていくと、嫌がる食べ物の傾向が見えてくると思います。
無理強いはせず、慎重にいきましょう。
でも一人で慎重に行うのは、不安が募ることが多いと思います。
そんなときは、一人で抱え込まず、いつでもご相談くださいね!

夢中になる遊びの中で

固有受容覚はいろんな遊びの中で経験することができます。
特に、本人にとって夢中になる遊びでは、嫌な感覚は抑えることができます(嫌なことを気付きにくい)。
だからといって、好きな遊びに嫌なことをたくさん入れすぎると、好きなものさえも嫌いになってしまう可能性があります。
ママに抱っこして貰いながら、しがみつく遊びをしてみたり。
触れながら(触覚)、揺れながら(前庭覚)ママという安心な場所だからこそ、力を入れてしがみつくことも楽しく感じるかもしれません。

固有受容覚を感じにくいタイプには

圧がしっかりと入る遊びを

四つ這いで手足で身体をしっかりと支えたり、手のひらで粘土のお団子を押しつぶしたり。
手足にしっかりと力を入れる活動を、たくさん取り入れてみてください。
これらの活動は、筋肉にどれくらい力が入っているかを教えてくれる固有受容覚がしっかりと働いてくれます。
そのため、自分がどのように身体を動かしているのかをイメージしやすくなります。

ふれあい遊びもオススメ!
今触られている部位がどこなのか、目で見て確認できるところから圧をしっかりとかけながら触ってあげてください。
自分の動きや触られている部位を目で確認することで、少しずつ自分の身体の動かし方が育まれ、身体を滑らかに動かす力へと繋がっていきます。

重たいものを運んでもらおう

お買い物したものや幼稚園のかばんなど、荷物を自分で持ってもらいましょう!
生活の中で、両手で物をしっかりと持つ経験をたっぷりさせてあげてください。
お手伝いは、身体を育む要素がたくさん溢れています。
時間のある日は、おうちでママパパとお相撲さん遊びもトライしてみて。
「押す」という動きは、筋肉をたくさん使うため、固有受容覚を感じやすくなります。

生活や遊びの中で固有受容覚を育む活動を【おうちで簡単にできる】力加減に関わる固有受容覚を育むあそびとお手伝い10選の記事で紹介しています。
参考にしてみてくださいね!

声かけの工夫については、“そーっと片づけて‼︎”大切にモノを扱う力を育むには?の記事で紹介しています。

まとめ

今回は、固有受容覚がうまく働かないとどんな姿が見られるのか、どうしたらいいのかについてお伝えしました。
固有受容覚の感じ方が生活や遊びの中での気になる行動に繋がっていることを知っていただけると嬉しいです。
それでは、まとめです。

  • 固有受容覚の感じ方は人それぞれ。
  • 不器用やぎこちなさは、固有受容覚の働きが大きく関わっている。
  • 固有受容覚が感じやすいタイプ(慎重さん)は無理強いは絶対にしないこと。
  • 固有受容覚を感じにくいタイプは、身体に力が入っていることが分かる活動をたくさんしよう!
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