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「前庭覚」がうまく働かないとどうなるの?
前庭覚は、姿勢を保つことやバランス感覚、目の動きに関わる感覚です。
私たちが日々生活する中で、姿勢を正してパソコンを使えたり、本を読んだりすることができるのは、この前庭覚がしっかりと働いてくれているから。
では、もしこの前庭覚がうまく働いてくれないとどうなるのでしょうか。
前庭覚の働きを知ると、大人から見ると子どもたちの不思議な行動も理解しやすくなるかもしれません^^
前庭覚がどんな働きをしているのかについては、こちらをご覧ください。
プロフィール
- こども専門の作業療法士
- リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
(発達が気になる、学習につまずきのある子の教室) - リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
(子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ) - 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
- 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
前庭覚がうまく働かないと、どうなるの?
前庭覚がうまく働かないと、日常生活の中でどのような影響があるのでしょうか。
よくある例を挙げてみたいと思います。
- 低い段差や揺れる遊具などを極端に嫌がる
- 姿勢が崩れやすくなる
- 落ち着いてじっとしておくことが苦手
- 高いところや触れる遊具が極端に好きで、見ている側はハラハラする
- 板書や書写など、文字を書くことが苦手
- 図形や文字などの形を捉えることが苦手
上記に挙げた例は、前庭覚以外にも様々な要因が絡んでいることの方がほとんどです。
どうしたらいいの?
前庭覚を感じやすいタイプと感じにくいタイプでは、アプローチが変わってきます。
また、日によって感じやすいときと感じにくいときが混ざっていることもあります。
感覚の感じ方については、感覚の感じ方はみんな違う!?の記事をお読みください。
前庭覚を感じやすいタイプには
無理強いは絶対にしない!
私たち大人から見るとすごく小さな段差であっても、お子さんにしてみるとすごく高く、激しく揺れているように感じたいる可能性があります。
これくらい、いけるでしょ!
怖がってないで、はやくおいで!大丈夫だから!!
このような言葉がけは絶対にしてはいけません。
私たちが50階のビルの屋上で綱渡りしているような感覚かもしれません。
そのような状況であれば、絶対に上記のような声かけはできないですよね。
合言葉は、少しずつ少しずつ。
でも、毎日の忙しさにいつもこの対応をするのは難しいことも多いと思います。
この考えを頭の片隅に置いておいてもらうだけでも、イライラが減るかもしれません。
ゆとりがあるときは、無理強いはせず、お子さんのペースに合わせてあげてくださいね!
手足で身体を支える運動あそび
姿勢が崩れても自分で支えられたら、元の姿勢に戻れる!という経験を身体を動かす遊びの中で経験を積んであげてください。
そのためには、ハイハイや重たいものを運ぶように手足で身体を支える活動をたくさんしてみてください。
“姿勢が崩れても大丈夫”という安心感が育まれていくと、不安定な場所や高いところでの遊びにも挑戦してみようとする子が多いですよ。
例えば、
- ダイニングテーブルの下やママパパの足の間を四つ這いでくぐる
- しっかりと抱っこをしながら、前後左右に一緒に身体を揺らしてみる
- 幅の広い段差をのぼりおり
- タオルで綱引き
- 重たいものを両手で運んでもらう
手足で身体をしっかりと支える活動は、固有受容覚を育てる遊びにも繋がります。
遊びや生活の中で育むヒントを、こちらの記事で紹介しています。
前庭覚を感じにくいタイプには
刺激量の調整
自分の身体にしっかりと情報が入ってこないように感じている可能性があります。
そのため、今自分の身体の状態がどうなっているのかが分からず、“もっと!もっと!”と強い刺激を求めて、激しい遊びや行動に発展しているのかもしれません。
好きだからとトランポリンやブランコを激しく遊ぶのは少し危険。
跳び方を変えたり、揺れの向きを変えたり、ストップしてみたり。
無理強いをして止めるのではなく、楽しみながら刺激量を調整してあげてください。
して欲しい行動を言葉以外で伝えて
どうしても危険な動きをしてしまう子が多いため、叱ってしまうことも多いかもしれません。
絵カードなど目で見て分かるように伝えたり、耳で聞いて確認したり、伝える言葉を変えてみたり。
すると、大人の私たちがして欲しい行動に子どもたちは変えてくれるということはよくあります^^
伝え方については、こちらの記事でもご紹介していますので、参考にしてみてください。
まとめ
今回は、前庭覚がうまく働かないとどんな姿が見られるのか、どうしたらいいのかについてお伝えしました。
前庭覚の感じ方が生活や遊びの中での気になる行動に繋がっていることを知っていただけると嬉しいです。
それでは、まとめです。
- 前庭覚の感じ方は人それぞれ。
- 大人も子どもも激しいことが好きな人もいれば、苦手な人もいます。
- 大人から見ると気になる子どもの行動は、前庭覚の働きが大きく関わっている。
- 前庭覚が感じやすいタイプ(慎重さん)は無理強いは絶対にしないこと。
- 手足でしっかりと身体を支える活動を通して、姿勢が崩れても元に戻れる経験を積もう!
- 前庭覚を感じにくいタイプ(ワンパクさん)は、同じ遊びではなく少し変化を付けて刺激量を調整しよう!
- 言葉だけの声かけだけでなく、見て分かる伝え方を取り入れると、して欲しい行動に繋がりやすくなる。