食事中にお茶碗を持って食べない。どう教えたらいいの?

Aya

何度注意しても、お茶碗を持って食べない!

手で持たずに、犬食いのように顔から食べに行くんです…

何度注意しても変わらず、ママパパはイライラ…。
何度も注意される子どももイライラ…。
とせっかくの楽しいお食事タイムが台無しになってしまうことって意外と多いのではないでしょうか。

今回は、お茶碗が持てない理由をお伝えした後に、お茶碗を持てるようになる工夫と遊びをご紹介したいと思います^^

この記事を書いた人
Aya

プロフィール

  • こども専門の作業療法士
  • リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
    (発達が気になる、学習につまずきのある子の教室)
  • リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
    (子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ)
  • 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
  • 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
目次

どうしてうまくできないの?

お茶碗が持てないよくある理由を5つ挙げてみたいと思います。

  1. 姿勢が保持できない
  2. 両手動作が苦手
  3. 手のひらを返す動きが苦手
  4. 5本の指をバラバラに動かすことが苦手
  5. お茶碗が手のサイズに合っていない
Aya

1つずつ解説していきますね。

姿勢が保持できない

お茶碗を持つためには身体の中心である体幹が安定している必要があります。
もともと柔らかい筋肉(低緊張)で、姿勢を保つことにものすごくパワーが必要だったり、手足で身体を支えるイメージがつきにくかったりなど、さまざまな理由で座った姿勢を保ち続けることが難しいのかもしれません。

ご飯を食べるためになんとか姿勢を保とうとお子さんなりに考えた結果、机に肘をついたり、足を机や椅子の脚に引っ掛けるようにしたりして、身体を支えている可能性があります。
そのため、利き手ではない手は身体を支えることに使われるため、お茶碗が持てないのかもしれません。

両手動作が苦手

お茶碗を持ってスプーンまたはお箸で食べるとき、右手と左手は全然違う動きをする必要があります。
大人にとっては、何気ないことかもしれませんが、実はこの両手をバラバラに動かすということは発達段階にある子どもたちとって、物凄く難しいことなんです。

お腹が空いていて、ママが作ってくれた美味しいご飯を早く食べたい!

という気持ちとは裏腹に、思い通りに動いてくれない両手。
こうなったら、お茶碗を持たずに食べてしまおう!と発想するのはイメージしやすいですね。

手のひらを返す動きが苦手

お茶碗を落とさずに持つためには、手のひらを天井に向ける(手のひらを返す)動きが必要になります。
手のひらを返す(手を天井に向ける)動きは、手のひらを下に向けた状態よりも後で育つため、難しいんです。
また、体幹や肩周りの安定性も関わってくるため、実はとても複雑な動きなんです。

Aya

手のひらを下に向けた状態をキープするのと、上に向けた状態をキープするのとを比べてみてください。
きっと、下に向けた状態の方が楽だと思います♪

この手のひらを返す動きが苦手な場合、お茶碗を持ち続けることにものすごくパワーを使います。
お茶碗を持つことで、とても疲れてしまうのかもしれません。

5本の指をばらばらに動かすことが苦手

お茶碗を持つときはどのように手指を使っているでしょうか。
下の写真のように、親指だけをお茶碗の端に引っ掛け、残りの4本の指でお茶碗の底を支えて持ちますよね。

手のひらは天井に向く。親指と残りの4本はそれぞれ別々の動きが必要。

この手指の使い方をするためには、親指と残りの4本をバラバラに使える必要があります。
お茶碗を持つことが苦手な場合、この5本の指のチームワークが完全には育ちきっていないのかもしれません。

5本の指のチームワークの育ちについては、スプーンが手離せない。お箸の練習を楽しくするには?の記事で説明しています。
また、スプーンの正しい持ち方からお箸へのステップアップについても紹介しています。

お茶碗が手のサイズに合ってない?

もしかすると、今使っているお茶碗がお子さんに合っていないのかもしれません。
合っていない理由も、大きさ、重さ、素材などいろいろと考えられます。

ものを触るときには、私たちは“触覚”というセンサーが働いてくれます。
この感じ方は人それぞれなんです。
誰しも、好きな触り心地もあれば、苦手な感触もありますよね。
お茶碗の素材を変えただけで、持ち始めるお子さんもいらっしゃいます。
どんな素材のものが使いやすいのかに悩まれた場合は、1人で考えすぎずに近くの作業療法士に聞いてみてくださいね♪

触覚のはたらきについては、自分の身体を知るための感覚。「触覚」ってなあに?の記事で解説しています。

どうしたらいいの?

お茶碗を持つために、お食事中にできることを3つ挙げてみたいと思います。

  1. クッションの利用
  2. まずは、お茶碗に手を添えることから始める
  3. 持ちやすい茶碗を検討する

それでは、1つずつ説明していきますね^^

クッションの利用

食事をしながら姿勢を正し、皿を持ちながら食具を操作して食べるというのはとても負荷が高くなります。
そのため、まずは食事に集中すること、食事を楽しむことを優先して、クッションや椅子で姿勢をサポートしてあげましょう!

リィーノでよくご紹介するものを3つ挙げておきます。

p!nto kids

座るだけで骨盤を起こして、正しい姿勢にしてくれます。
私も大人用のもの愛用しています。腰が楽!
ただ座面が広いので、ご家庭で使われている子ども用の椅子には合わないこともあるかもしれません。
学校の椅子にフィットするタイプもありますよ(防空頭巾にもなる)。

style kids

亀の甲羅みたいな感じのサポートグッズ。座ると抜け出せないくらいパコッとはまります(笑)
狭いスペースに収まっていることが好きなタイプの子には向いているかも。

ムービングクッション

空気の調整ができるタイプのクッション。
傾斜が付いているタイプと丸いタイプの2種類あります。
常にお尻から刺激を入れて欲してゴソゴソ動いてしまうタイプのお子さんには、ヒットすることが多いです。

他にも、いろんなシリーズのものが出ています。
電気屋さんや東急ハンズなどでお試しコーナーが用意されているところもあると思います。
必ず試してから購入されることをオススメします!

まずは、お茶碗に手を添えることから始める

お茶碗を持ちながら食べるためには、空中でお椀を持ち続ける必要があります。
空気椅子をイメージしてください。
足がプルプルしてきてすぐに辛くなってきますよね。
お茶碗を持ち続けるということは、空気椅子と同じような状況になるということ。
同じ姿勢を保つことは、持久力が必要になるため、すごく疲れやすいんです。

お茶碗に手を添えるところから練習を*

お茶椀を持ち上げて食べる練習をする前に、上の写真の女の子のように机の上でお椀に手を添えるところから始めてみましょう^^

持ちやすい茶碗を検討する

幼児のお茶碗の大きさは、直径10cm程度、高さが5cm未満のものを選びましょう。
また、重さは120g程度のものが良いとされています。
しかし、重さの感じ方も人それぞれ。
軽いお茶碗の方が疲れにくくていいという子もいれば、重めの方がずっしりと持っている感じがするから持ちやすいという子もいます。

お茶碗の素材は、触って確認を。
お茶碗にイラストが描いてる方がいいかどうかもよく聞かれますが、イラストがあることで集中する子、反対にイラストがあることで集中できなくなる子もいます。
この辺りは、作業療法士の専門分野!困ったら聞いてみてくださいね^^

お茶碗を持つことに繋がる遊び

普段の生活や遊びの中で簡単にできる活動を3つ紹介しますね。

じょうろで水やり

春になってお花がたくさん咲き始める季節。
じょうろをしっかり握って、水やりをしてもらいましょう♪
手のひら全体を使って握る活動は、手指をばらばらに動かす力に繋がっていきます。

じょうろをギュッと握って持つことが、手指をバラバラに動かす力に繋がる

両手で水をすくおう

お茶碗を持つには、手のひらを返す動きが必要でしたね!
生活の中には、手のひらを返す動きがいっぱい潜んでいますよ^^

顔を洗うとき、両手で水を溜めることができるかな?
手からお水がこぼれてしまって大惨事になりそうであれば、お風呂の中でお水をすくってママの肩にかけてもらったり、桶に水を移してもらったり。お風呂の中だったら失敗してもへっちゃらですね♪

ジャングルジム

姿勢を保つためには、手足で身体を支える経験がとっても大切!
ジャングルジムは、手足でグッと支える経験が山盛りできます。
ポールに当たらないようにくぐったり、またいだりと身体をひねる動きもたくさん行えます。
このような運動を行うことで、姿勢を保つために必要な筋肉が育ってきますよ。

手足で身体を支える力を育むためには、ハイハイの動きがとても大切なんです。
ハイハイの大切さについては、道具操作に繋がる!?ハイハイが大切な理由の記事で解説しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
お茶碗を持って食べれるって凄いことのように感じませんか?
何度伝えてもできないときは、何かしら必ず理由があります。
困った時は、1人で悩まれずにいつでもご相談くださいね^^

今回の内容のまとめです。

  • お茶碗を持たないのは、わざとではないことがほとんどです。
  • 姿勢を保つために手を使っていて、お茶碗が持てないのかもしれません。
  • 両手をバラバラに動かす、手のひらを返すことが苦手なのかも。
  • 5本の指のチームワークが育ちきっていないのかも。
  • お茶碗が手のサイズに合っていないのかも。
  • 食事タイム中の練習はほどほどに、普段の生活や遊びの中でお茶碗を持つ力はたくさん育めます!
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