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理学療法士と作業療法士と言語聴覚士の違いってなあに?
リハビリ職の違いってよく分からないんですが…!
似たことをしていることも多いので、分かりにくいですよね。
それぞれの職種がどう違うのかイマイチ分からない方も多いかもしれません。
療育に通っているけれど、似たようなことしているように見えるというお話もよくお聞きします。違いについて聞くに聞けないなあ…と思っている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3つの職種の違いについてお伝えします。
この機会に、3つの職種の違いを知っていただけると嬉しいです^^
プロフィール
- こども専門の作業療法士
- リィーノこどもセラピー 運営(6年目)
(発達が気になる、学習につまずきのある子の教室) - リィーノ発達ゼミ運営(のべ250人受講)
(子どもに関わる職種のためのセミナー・ブログ) - 幼稚園・保育所、小中学校の巡回相談員
- 保護者・職員向けのセミナー依頼 年30件以上
3つの職種の共通点
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、どれも医療系の国家資格です。
専門学校または大学を卒業時に国家試験の受験資格を与えられ、試験に合格すると晴れて資格を得ることができます。
勤務先としては、病院や老人保健施設が一番多く、子ども分野で働く人はまだまだ少ないのが現状です。
最近では、保健センターや療育施設、支援学校、地域の幼保・学校の巡回相談員など、地域で子どもと関わる療法士も少しずつ増えてきています。
私自身も、現在、幼保・小中学校の巡回相談員として保育・教育現場に行かせて頂いたり、保健センターで乳幼児健診に携わらせて頂いたりしています。
理学療法士とは
理学療法士とは、Physical Therapistの和訳。
普段は頭文字をとって「PTさーん!」と呼ばれています。
理学療法士は、寝返り、座る、立ち上がる、歩くなどの身体の基本的な動作の練習を行います。
遊びの中で様々な姿勢や運動を経験してもらいながら、基本動作能力の発達のサポートをしています。
作業療法士とは
作業療法士とは、Occupational Therapistの和訳。
普段は頭文字をとって「OTさーん!」と呼ばれています。
作業療法士は、食事や着替えなどの生活に関すること、書字やはさみなどの道具を使うこと、買い物や公共交通機関の利用など日常生活に必要な動作の練習を行います。
座りながら絵を描いたり、歩いてやりたい遊具のところまで行ったり。
基本的な動作に加えて、より応用的な動作の発達をサポートしています。
子ども分野で働く作業療法士については、作業療法士に何を相談したらいいの?をお読みください。
子どもの発達について、作業療法士に何を相談したらいいのかの参考にもなると思います。
小学校入学前のお子さんについての相談ごとは、小学校入学直前!作業療法士に何を相談したらいいの?を参考にしてみてください。
言語聴覚士とは
言語聴覚士とは、Speech Therapistの和訳。普段は頭文字をとって「STさーん!」と呼ばれています。
言葉、発音(滑舌)、聞こえ、認知面、飲み込むなどコミュニケーションや食べるための練習を行います。子どもたちの言葉の育ちや考える力、食べる力(どんな硬さの食べ物、とろみ具合など)の発達をサポートしています。
リハビリ職は連携して、子どもたちの発達をサポート
3つの職種は、専門分野がそれぞれあるため、連携しながら子どもたちの発達をサポートしています。
リハビリ職同士だけでなく、医師や心理士、ケアワーカーさんなど医療・福祉分野の様々な職種とも必要に応じて連携を取らせて頂いています。
また、子どもたちが生活する環境に合わせて、保護者の方々に協力してもらいながら保育士や教師とも情報交換をさせていただくことも増えてきてます。
お子さんにとって必要なことであれば、職種が違っても同じような課題を取り組むこともあります。
お箸を持つ練習をすることを例に挙げてみましょう。
お箸を持つためには、座っている姿勢が崩れてしまうと操作がしにくくなってしまいます。
このとき、お箸の練習の土台づくりとして、座る姿勢の安定性を高めるために理学療法士だけでなく座る練習を作業療法士がすることもあります。
また、お箸を使うための認知面の土台づくりを、言語聴覚士と共に作業療法士がすることもあります。
このように、私たちリハビリ職はお子さんの発達状況に合わせて、連携しながらプログラムを提供させて頂いています。
よくあるご質問
PTもOTもも同じようなことをしているのはなぜ?
先ほども述べましたが、基本動作の育ちがそのお子さんにとって必要だと判断し、PTもOTも取り組んでいる可能性が高いです。安定した基本動作が、応用動作や認知面のより良い育ちへと繋がっていきます。
言葉の訓練を希望したのに、OTを受けることに…なぜ?
言葉の発達には、運動面の発達が大きく関わってきます。
身体を動かし、様々なものに触れることで感覚を全身で味わい、少しずつ自分の身体の使い方やものの特性を学んでいきます。
例えば、りんごが目の前にあったとしましょう。
りんごの丸くて少しふわふわざらざらした触り心地を触れること(触覚)で知ります。
りんごを持った触って筋肉の中のセンサー(固有受容覚)を通して感じます。
甘くい味を味覚が感じます。
ママやパパに「りんご食べるよー^^」と言葉がけをしてもらいます。
これを赤ちゃんの頃から繰り返される中で、
どうやら赤くて丸くてあの甘い味がするものを「りんご」と呼ぶらしい…。
と言葉は育っていくのです。
そして、ある日「り(んご)!」といったように本人が言いやすい言い方でりんごと言えるようになります。
そのため、まずは身体を使った遊びを通して、やりとりの土台を育てましょうという理由で作業療法からのスタートになった可能性があります。
触覚、固有受容覚、味覚は、自分の身体を知るための7つの感覚の中の3つ。
これらの感覚のおかげで、私たちは日々の生活を送ることができています。
詳しくは、「感覚」ってなあに?運動・学習・社会性の基盤となる7つの感覚をお読みください。
OTは、細かい作業の専門家なんですよね?
作業という名前がついていますが、細かな作業だけではありません。
作業とは英語のOccupationalのを和訳で、もともとは、「時間を占める」という意味があります。
子どもたちの場合、生活や遊び・学習面で困っていることに対して、本人が夢中になる活動を通してサポートさせていただきます。
遊びを通して、感覚、運動、認知面、環境など様々な機能へアプローチを行います。
たとえば、鉛筆をつかうために手指の練習が必要だと判断したら、細かな操作の練習も行います。
鉛筆を安定して使うために、姿勢の安定性を高める必要があると判断すれば、身体を大きく動かす遊びを通して姿勢が楽に保持できるような身体づくりを行います。また、椅子などを工夫して座りやすい環境をつくることもしたりします。
手先の細かなことでよくある相談
もちろん、手先の細かな操作や道具操作についてのご相談もたくさんお受けします。
よくお受けするご相談を記事にしていますので、参考にしてみてください。
まとめ
リハビリや療育時間はとても短く、何を質問したらいいのか分からないことも多いと思います。
それぞれの職種の役割を知っていただけると嬉しいです!
疑問や不安を抱えていることほどモヤモヤなことはないと思います。
気になったことは、担当セラピストに聞いてみてくださいね。
専門外のことは、どの職種に聞けばいいかきっと教えてくれるはず。
もし不安なことがあれば、1人で抱え込まずいつでもご相談くださいね^^
それでは、今回のまとめです。
- 3つの職種は、全て医療系の国家資格
- 理学療法士は、寝返り、座位、歩行など基本的な動作能力の発達をサポート
- 作業療法士は、日常生活に必要な応用的な動作能力の発達をサポート
- 言語聴覚士は、コミュニケーションや食べる力の発達をサポート
- 職種同士連携を取りながら子どもたちの発達をサポート!